UK盤レコードの刻印とインナー仕様を比較        クリーム1968年作品で考える

オリジナル盤から掘り下げて年代考証の細かいことを検証

クリーム絶頂期のDisraeli Gears日本題「カラフルクリーム」に続き1968年にリリースされた「クリームの素晴らしき世界」
黒地にシルバーのサイケデリックなデザインが半世紀以上経っても印象的なジャケットで今でも収録内容併せてお気に入りのレコード
本稿では、一般に「英国オリジナル」とされる mono 582031/2 と stereo 583031/2 について、盤だけでなく付属品(インナースリーブ・ラベル・ジャケット)を含めて検証してみたい

以下に使用盤のマトリックス刻印を記すが、これはインナースリーブやラベルの仕様との同時代性を検証するための前提資料としてとして提示する

MONO1・582031/2

  • A:582031 A▽1 420 1
  • B:582031 B▽1 420 1 1
  • C:582032 A▽1 420 1
  • D:582032 B▽1 420 1 1

MONO 2・582031/2

  • A:582031 A▽1 420 1 2 2
  • B:582031 B▽1 420 1 2 1
  • C:582032 A▽1 420 1 3
  • D:582032 B▽1 420 2 1 2

STEREO・583031/2

  • A:583031 A//2▽ 420 1 1
  • B:583031 B//1▽ 420 1 1
  • C:583032 A//1▽ 420 1 1 1
  • D:583032 B//1▽ 420 1 ・ ・ 3

オリジナルとされるmono2枚ステレオ1枚の計3枚
mono盤1枚目とstereo盤は刻印から最初期盤と思われる
先ずはマイナーな観点でインナースリーブについて

インナースリーブ/警告表示の有無

本来インナースリーブはレコード盤を保護するための消耗品であり、傷みや汚れによって交換・廃棄されることが多かったため古いレコードにおいて当時のインナーが残っていない例も少なくない
しかし、現在ではインナースリーブは発売当時の流通事情や安全表示の変遷を知ることができる重要な付属資料のひとつと考えられる

Wheels of Fire に付属する Polydor 製インナースリーブ
本稿で確認できたインナースリーブは以下の三段階に大きく分類できる

今回取り上げたいのは、中央の枠付き警告文が印刷されていないインナースリーブである

  • 左下に  British Patent No.
  • 右下に  MADE IN ENGLAND

警告文は付くが右MADE IN ENGLANDの末に数字がないタイプ

  • 左下に  British Patent No.
  • 中央下に 枠付き警告文
  • 右下に  MADE IN ENGLAND

1968年リリースという時代背景からも、この警告表示付きインナーが最も広く流通していたものと考えられる

  • 左下に  British Patent No.
  • 中央下に 枠付きの警告文
  • 右下に  MADE IN ENGLAND(+数字)

写真では、上から下へと順に印刷要素が段階的に追加されている様子が確認できる
所持盤との対応関係を見ると

  • mono 1 盤では A/B 面、C/D 面ともに①の警告なし
  • stereo 盤では A/B 面が①、C/D 面が②
  • mono 2 盤では A/B 面、C/D 面ともに③の警告付き

マトリックス刻印やマザー/スタンパー番号が 1 のみ、あるいは初期と思われる個体ほど警告表示のない、または印刷要素の少ないインナーが付属している点は興味深い。 もっとも、インナースリーブについては、リリース後の販売店やコレクターによる差し替えの可能性を常に考慮する必要がある

ただし、本稿で取り上げた個体については、刻印内容との整合性から見て順当に初期段階の付属品が残っていた可能性も否定できないと考えている 1968年リリースの Polydor 作品、あるいはそれ以前のタイトルにおいて、同様の仕様が確認できる例をご存じの方がいれば、ぜひ情報を共有していただきたい

奇妙なラベル

mono1盤にはA/B・C/D面全てテクスチャードラベルでセンター寄りに深溝DGがあり外側に低い段差の輪がある
C/D面にはDGの外側に段差がない

mono2盤はよく見かけるセンター寄りに輪がある通常のラベルだがC/D面はダブルの段差の輪が存在する

stereo盤のA/B面に関してセンター寄りにDGと段差の輪があり、その内側がテクスチャード加工、段差を境に外は艶のある加工となっている

このような仕様となった理由については、現時点では明確な結論を得ていない
元々テクスチャード仕様のラベル紙で高い段の外側に強くプレスされたということで奇妙なラベルになっているのか

 折り畳みがズレている

変わったラベルのstereo盤はジャケットにも特徴があり
stereo盤の折り込みが斜めにズレており、現在の品質管理では明らかにエラー物になる程度で折り畳むと表面が裏面より5mmほど上にズレて、側面は下に行くほど短くなり3mm差が出てかなり歪な状態のジャケット

これが商品として出荷され販売店に並んで購入されてから長い期間を経て市場に出回り巡り合ったのですが
手に入れた時には「しまった!」と後悔したが奇妙なラベルとズレたジャケットは初期のMATRIXと相まってお気に入りの一枚となっている

古いものの楽しみ方の一つ

製造のバラツキがある古い時代のモノだからこそ醸し出す様々な表情の違い、そこを穿り出し味わうのも楽しみ方の一つだと思う
チョットした違いから年代考証を試みましたが、本稿はあくまで私的所蔵盤に基づく観察記録であり、断定的な結論を示すものではありません

しかし、同様の仕様を確認された方がいれば、情報を共有していただければ幸いです

今回は「素晴らしき世界」の外観の時代考証でしたが、次の機会にはmono、stereoオリジナルや後発盤、US盤、日本発売盤の音について機会があれば考えてみたいと思います♪